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腔のバイオメカニクス

水力学的骨格系の力学 柔軟構造体, 柔軟アクチュエータの開発 口腔器官のバイオメカニクス 能動的に形状変形する構造体の機能と制御

※図内説明をクリックすると詳細へ

ミミズやイソギンチャクの身体は袋状の膜に液体が満たされた構造になっており、内圧を調整することによって身体を支持や運動を行っています。身体全体が柔らかいので、従来の機械にはない機能を実現できる可能性があります。これに関係する研究テーマを「腔のバイオメカニクス」」と呼ぶことにします。


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水力学的骨格系の力学
 イソギンチャクやミミズは袋状構造に流体を満たし,内圧を調整することで体形を変えることや移動することを実現しています.このような構造体を水力学的骨格と呼んでおり,体全体が柔軟なため,壊れやすい対象物や人間と接する箇所に使用すると安全性の高い機械システムが実現できると期待されます.
 そのためには機械要素としての基本的な力学特性を調べる必要があります.本研究では,非線型有限要素法解析や測定実験を行いながら水力学的骨格の力学を考察しています.


   Angle=40        Angle=90       Angle=140
【文献】
 Daisuke Maruyama, Hitoshi Kimura, Michihiko Koseki and Norio Inou:
 Driving force and structural strength evaluation of a flexible mechanical system
 with a hydrostatic skeleton,  
 Journal of Zhejiang University-SCIENCE A, Applied Physics Engineering,
 pp.255-262 (2010)  
 丸山大輔, 伊能教夫, 木村仁, 小関道彦:
 水力学的骨格を利用した柔軟な機械システム
 (非線形有限要素解析に基づいた応力集中の回避と駆動力特性の比較),
 日本フルードパワーシステム学会論文集, Vol.41, No.3, pp.43-51(2010)
 
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柔軟構造体, 柔軟アクチュエータの開発
水力学的骨格系を人工的に実現するために構造機能としての役割を持つ要素とアクチュエータとして機能する要素を考えています.前者は流体容量が必要ですが,内圧を頻繁に調整する必要がありません.一方,後者は内圧調整を頻繁に行う必要がありますが,設計によって動作流体容量を減らすことができます.このような効率のよい機械システムを提案しています.

  

【文献】
 Hitoshi KIMURA, Mokutaro KATAOKA, Shotaro SUZUKI, Daisuke AKIMOTO,
 Norio INOU:  A Flexible Robotic Arm with Hydraulic Skeleton,
 Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing", Vol.6,
 No.7, pp.1107-1120 (2012)  
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口腔器官のバイオメカニクス
消化管,心臓,血管も内部に空洞を持っており,水力学的骨格と本質的に同じ構造です.これら生体の動的挙動を調べることによって人工物を設計する際の重要なヒントが得られると考えています.
     
              蠕動運動による腸管内の流れの様子

     
     腸管内の輸送量の計算:輸送量が最大となる収縮間隔が存在する




【文献】
Norio Inou and Yoji Umetani:
Small Intestinal Movements In Vivo and the Neuro-Mechanical Control Mechanisms, Proceedings of International Symposium on Autonomous Decentralized Systems (ISADS93), Kawasaki, Japan, pp.407-413 (1993)

梅谷陽二, 伊能教夫:
蠕動運動の生物工学的研究‐力学モデルによる腸管運動の解析‐
計測自動制御学会論文集,Vol.22, pp.1081-1086(1986)  
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能動的に形状変形する構造体の機能と制御
腸管では蠕動運動と呼ばれる収縮運動や分節運動と呼ばれるとびとびに短い収縮が生じて内容物を混和する運動が行われています.これらの運動は,中枢からの神経支配がなくても制御が行われています.この運動制御機構を生理学文献および腸管の運動観察から神経回路モデルとして推定し,その妥当性をコンピュータシミュレーション,機械シミュレータを使って示しました.

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【文献】
梅谷陽二, 伊能教夫:
蠕動運動の生物工学的研究‐流動状内容物の運動シミュレーション‐,
計測自動制御学会論文集, Vol.21, pp.172-176, (1985)  梅谷陽二, 伊能教夫:
蠕動運動の生物工学的研究‐神経メカニズムの推定とそのシミュレーション‐,
バイオメカニズム学会編, Vol.5, pp.19-27, (1980)
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